防波堤など陸からの釣りではなかなか狙えないタイも海上釣堀では最もポピュラーなターゲットです。養殖魚ですが高級魚であることには変わりなく、海上釣堀の釣りでは最も人気のあるターゲットです。しかし、侮るとなかなか釣れないこともありますので、海上釣堀でのタイ釣りのコツを覚えてタイ釣りをマスターしましょう。
釣った魚は自分で料理して振る舞うをモットーに関西で休日を中心に釣りをしています。釣果と腕はともかく釣り歴は長いです₍^^;。
海上釣堀でのタイ狙いの浮き釣り
海上釣堀でタイを狙う釣り方は、浮き釣りと脈釣りがありますが、最初は浮き釣りで狙うことをお勧めします。浮き釣りはタイのアタリを浮きの浮き沈みで見分けられるので使えるサオの種類は多たくさんあります。脈釣りは、サオ先でアタリを取りますので、サオの種類が限られます。海上釣堀での釣りに慣れてきたら脈釣りに挑戦してみてください。
海上釣堀のタイとは
タイは海上釣堀ではどの釣堀でも一番たくさん放流される魚種です。養殖タイで、30センチメートルから40センチメートルの中型のタイが多く放流されます。50センチメートル以上の大ダイも数は少なめですが合わせて放流されます。
タイは海上釣堀で1年中釣れますし、最初の放流まで待たなくてもマスの中に残っています。釣りの開始時はタイから狙うことをお勧めします。タイを釣り上げることで他の魚の活性が上がってきますから、タイを最初に釣るということにメリットもあります。
狭い釣堀のマスのなかですが、季節やその日の状況によってタイの潜む場所が変わります。タイは夏場でも比較的深場に潜み、日差しの強いときは浅いマスの中ではイカダの影になる場所、潮が流れるときは潮下、冬場は中央の最深部と居場所を変えているようです。
釣りをしている時間帯の中でも少しずつ居場所が変わりますから、いろいろなところに仕掛けが入れることの可能な浮き釣りがおすすめです。
海上釣堀で、活性の高いときのタイは、警戒心が薄く一気にエサに食いつき、気持ちよく浮子を沈めてくれます。しかし、水温が低かったり天候や潮時によっては活性が低くなり警戒心が高くなることがあります。エサを口にして少しだけ浮子を沈めるものの、食い込む前に違和感があるとすぐにはき出し、浮子が浮いてしまうこともあります。釣るのが簡単なようでなかなか難しいターゲットでもあります。
海上釣堀でのタイの浮き釣りのタックル
海上釣堀でのタイ狙いの浮き釣りのタックルをご紹介します。
タイ釣り用のサオ
海上釣堀で同時に使えるサオは1本と決められていますが、ターゲットによって使い分けるためや釣り方を変えるために複数のサオを持ち込む方もいらっしゃいます。浮き釣りの場合も、青物用とサオとタイなどの小型から中型の魚を狙うサオを分ける人もいらっしゃいます。
サオが硬すぎると、きき合わせのときにタイが違和感を感じてエサをはき出してしまいます。サオが柔らかすぎると大物がかかった時に魚の引きに負けてしまうことがあります。だからタイ釣り用のサオと青物用のサオを分ける人がいるのです。最初は中庸のものを使ってみましょう。
標準的には3メートルくらいで7:3くらいの調子のサオ、磯サオであれば3号くらいが適当です。船釣り用のサオを兼用する人も多くいます。海上釣堀ですから5メートルもあるような長いサオは扱いにくくトラブルの原因の1つです。
購入を考えるなら釣り堀用のサオが釣り道具屋で売られていますから検討しても良いでしょう。おすすめは外ガイドの3メートル程度の海上釣堀専用サオです。
タイ釣り用のリール
海上釣堀のタイ狙いの浮き釣りでは、リールは3000番から5000番くらいのドラグ付きの中型スピニングリールでよいでしょう。海上釣堀の釣りに特化したしたリールというのはありませんので他の釣りに使うものと兼用できます。ただ、道糸はサビキ釣りなどよりは太いものが必要です。道糸はナイロンなら最低でも5号を巻いてください。道糸の長さは50メートルあれば足りますから、スプールをとりかえるか、まき直しましょう。慣れればPEラインでも良いですが穂先のトラブルが招きやすいので最初はナイロン糸の方がよいでしょう。
リールを新調するならあまり安いものを買わず、ベアリング数が少なくとも5/1くらいあり、ギア比5以上で、できればドラグ力の幅があるものを予算内で選びましょう。
タイ釣り用浮きり釣仕掛け
タイの浮き釣りの仕掛けを上図に沿って説明します。
1.浮子止め糸(目印)
海上釣堀では棚取りが重要になります。浮子止め糸を目印として、仕掛けを入れるポイントの水深に合わせて結びます。仕掛けを落とす棚(浮子下の長さ)は2の浮子止め糸で決めますが、巻き上げや投入を繰り返すうちに浮子止めの位置が変わってしまいますので、目印から何センチメートル下と覚えておくと狙う棚にエサを運べます。
2.浮子止め糸
エサを届ける棚を決めます。底から50センチメートルを狙うなら、上の目印から50センチメートル離せばセットできます。
3.浮子
浮力の強い浮子だと、食い渋るときにわかりにくいので感度の良い棒浮子がおすすめです。写真はチヌ釣り、ハネ釣りに使う浮子ですが、最近は釣り堀用の浮子も感度の良いものが出ています。
4.スイベル
いろいろなスイベルがありますので、滑りの良いものを選んでください。写真はすこし高価ですがPEラインでも引っかかったりしないSicスイベルです。
5.絡まん坊
オモリから浮子の長さより上につけます。オモリと浮子が絡みを防止します。
6.クッション付きオモリ
オモリは浮子の負荷に合わせた重さです。クッションは魚の強い引きをいなすためにつけます。浮子のトップの出し方はガン玉などの小さなオモリを使って調整します。
7.ハリス
タイ狙いのハリスはフロロカーボン糸の3号程度を50センチメートルから1メートル取ります。青物であれば6号以上のハリスを使うこともあります。サオさばきで魚の力をいなせるようになれば3号でも青物を釣り上げられるようになります。食いが渋くてハリスを細くすることもありますが、2号までにしてハリスを長くしハリを小さくする方が得策です。
8.ハリ
ハリは軸の硬い太いものを使います。タイ針の10号から13号が標準です。食いが渋いときはエサの中にハリを隠します。グレ針が良く使われます。
海上釣堀のタイ釣りのエサ
タイは雑食性ですのでムシエサ、活きエビなどの活きエサ、イワシやキビナゴの切り身や冷凍エビなどの生エサ、養殖イケスで食べている練りエサなどが定番です。変わったものとしてはササミを塩漬けし赤や黄色に色づけしたエサが良く使われます。珍しい所で、夏はスイカやプチトマト、冬はミカンを使うこともあります。
一日の釣りを1種類で済ませることは難しく、何種類かのエサをローテンションしながら、あたりの出るエサを使います。練りエサ、生エサを各1種類、できれば活きエサを最低1種類は持っていきましょう。冷凍エビか活きエビのどちらかは入れておきましょう。タイだけでなく他の魚も良く食います。
ササミはニンニクやアミノ酸液などでにおい付けされています。自分で作ることも可能ですから調整してみてもおもしろいですよ。
ニンニク漬けのササミ、エビエサの作り方
- 鶏のササミ、生エビを用意する
- バットにササミ、生エビを入れ、塩を入れ、水を抜く(一晩)
- 塩を水で落とし、1センチメートル角に切り分ける。
- ビニール袋にササミ、エビを入れチューブニンニク、食用着色料を入れる
- よくもみ、全体に色がついたらそのまま冷凍する
小分けして冷凍しておけばストックできます。
海上釣堀でのタイの釣り方
海上釣堀では最初に狙うのはタイです。釣り座を構えた場所のサオ下をまず釣ってみましょう。釣り座を決める段階で、タイがいるであろう場所を選んでいれば、まず近い場所を釣ってみます。釣り開始の合図の前に、底を取るためのオモリをつけて、仕掛けを沈めて底までの深さを測り、目印をつけます。最初に探る棚は、底から50センチメートルで浮き止め糸を合わせます。
釣り開始の合図でエサのついた仕掛けを入れます。浮きによりますが、オモリの重さが浮子に伝わってからしばらく待つとエサが棚に届き浮子にその負荷がかかり、もう浮きが沈みます。ポイント近くにタイがいれば落ちてくるエサを見ていてエサに食いついてきます。
魚が釣れやすいタイミングというのは1日に何回かはあります。釣り開始の朝は、そのタイミングの一つです。餌付けされてる養殖魚が半日エサをもらっていない状態になっていますから、近くにエサがあれば食いついてくる時間帯です。エサが棚に落ち着く前にタイがエサに食いつきそのまま浮子が消し込んでしまうこともあります。
冬場に水温が低いとタイの活性も低くなり、勢いよく食いつくことはまれです。タイはゆっくりと近づいてきてエサを軽くくわえるアタリを送ってきます。浮子が水中に引き込まれるのですが途中で止まってしまうあたりです。まだ合わせてはいけません。早合わせは禁物で、止まった浮子が再び沈んでいくときに合わせを入れます。
浮子が水中で止まっているとき、タイは違和感を感じるとエサをはき出しますから浮子が再び浮いてきます。この時はサオを軽く持ち上げるように仕掛けを動かしてみます。エサがまだついていれば再びアタリが出ますが、アタリが出ないようであれば仕掛けを回収してエサを変えましょう。
仕掛けを回収する時は、一度強くサオをしゃくって、ハリからエサを外して(エサを切るといいます)、仕掛けを回収します。仕掛けを投入してしばらくアタリが出ないようであれば、サオを動かし誘いを入れます。それでもアタリが出ないようならエサを切って、仕掛けを回収し新しいエサを付けます。これをアタリがでるまで繰り返します。
エサをまくことはできませんが、ハリからエサを外すことでエサが落ちてくることを魚にアピールし、まきえの代わりにするのです。タイは一尾だけでいることは少なく、ある程度の数が固まっていますから、他の魚へのアピールにもなります。エサ切りを繰り返すと、タイは集まってくるものです。
釣れた場所、あたりの出た場所は続けて狙えます。群れを散らさないためにも一度ハリにかかったタイをばらさないようにしましょう。ハリの掛かりが弱いと途中で外れ、逃げたタイに引きづられて他のタイも警戒し一気に食いが止まります。確実に釣り上げるためには、タイにハリを飲み込ませても良いのです。
タイが釣れた場合は、抜きあげるのではなくタモですくいましょう。タモ入れを自分でするのは難しいので、隣の人に入れてもらいましょう。隣の人が釣れた時はタモ入れを手伝ってあげればいいのです。
釣れたタイはハリを外して、スカリに入れます。もし、ハリを飲み込んでしまっているなら無理に外そうとせず、ハリスを切ってハリを付け替えましょう。釣れるときには、地合いを逃さず釣ること尾優先しましょう。
アタリが出ないときの対処法
アタリが出ないときに試してみることを3つご紹介しておきましょう。「エサを変えてみる」「棚を変えてみる」「狙うポイント(場所)を変えてみる」の3つです。
エサを変えてみる
決まった順番があるわけではないですが、最初は練りエサ(団子)を使ってみます。練りエサは水中では少しずつ溶け集魚効果もあります。
続いて活きエサがあれば活きエビか青イソメを使います。活きエサはアピール力はぴか一です。活きエサがなければ冷凍のエビでも良いでしょう。
もう一つは、夏場であれば赤色のエサ冬場であれば黄色のエサを使ってみましょう。練りエサでも良いですしササミでも良いでしょう。色付きのエサというのも実績があります。
棚を変えてみる
エサを変えてもアタリが出ないようであれば、棚を変えてみます。釣りはじめは底から50センチメートルの棚から狙い始めました。夏場でも底付近にいることの多いタイですが、水温の上昇やタイの活性によってタイのいる棚が変わります。浮子下を50センチメートルずつ上げてみます。
水深の3分の1くらいまで段階的にあげてみます。イケス内を回遊している青物(ブリやシマアジなど)が当たるようなら狙うポイント(場所)を変えてみましょう。
狙うポイントを変えてみる
棚をかえてもアタリが出なければ、仕掛けを入れる場所をかえてみます。海上釣堀では釣り座を変えることは許されていませんので、仕掛けを入れる場所を変えます。最初は竿下に入れた仕掛けは、潮下に向かって少し移動します。タイがいる場所に仕掛けが届かなかったわけですから、他のタイのいそうな場所を狙います。
ネット際、潮下のイカダのコーナー(隣の人の邪魔にならないようであれば)、マスの中央部がタイがいる可能性の高い場所です。狙う場所の底取りをして、底から50センチメートルから探っていきましょう。
ハリ掛かりしないときの対処法
アタリはあるもののタイにハリがかからないということが続くならエサのつけ方を点検しましょう。エサからハリが出てしまっているかもしれません。ハリはエサの中に隠れるようにつけます。
エサのつけ方に問題がなくてもアタリがあるのにハリ掛かりしなければハリスの長さを50から70センチメートルくらいに短くしてみましょう。その次は、ハリのサイズを小さくします。早合わせをせず、合わせをもう一呼吸遅らせてみましょう。
海上釣堀でタイを釣ろう
海上釣堀といえども釣りをする5~6時間の同じコンディションは続きません。水温の変化、天候の変化、潮の変化があり、タイの活性も変化します。水温が低いとタイも活性が落ちます。水深が10メートル程度ですから、天候によって水中の状況も変わります。潮どまりはタイもエサを獲らないことが多いようです。
どうしたらタイにエサを食わせられるか、状況に合わせ、できることをいろいろと試してみましょう。自分の工夫によって狙ったタイを釣り上げる楽しさを味わってください。釣れたのではなく、狙って釣ったという釣り人としての満足感が味わえるのも海上釣堀の魅力です。
釣った魚は自分で料理して振る舞うをモットーに関西で休日を中心に釣りをしています。釣果と腕はともかく釣り歴は長いです₍^^;。
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