
夏から旬を迎えるタチウオ。防波堤から狙うタチウオ釣りをご紹介します。
釣った魚は自分で料理して振る舞うをモットーに関西で休日を中心に釣りをしています。釣果と腕はともかく釣り歴は長いです₍^^;。
タチウオとはどんな魚
特徴
薄べったい細長い魚体で、体表は銀白色に輝くグアニンという物質で覆われています(このグアニン、マニキュアのラメや人工真珠の表面に使われている美しい物質です)。腹びれ、尾びれを持っておらず尾の部分に至ると細長いひものような状態になっています。
タチウオの大きさを測るときは体長で測ることもありますが、一般に釣り人は体高に合わせて手のひらをあて、指の本数で示し「指3本、指5本」とか表します。指5本以上のものをドラゴンと呼んで珍重していますよ。
泳ぎはあまり得意でないと考えられており、餌を追いかけていないときは立ち泳ぎのような姿勢をしています(タチウオのいる水族館で見ることができますよ)。
頭は下あごが突き出していて大きな口の中に鋭い歯が並んでいます。獰猛なフィッシュイーターとして知られており、この鋭い歯でターゲットを傷つけ食しています。ただ、あまり食べることが上手でなく飲み込むまでに時間がかかるので釣りあげるために少しコツがあります。
こうした体の特徴から太刀(カタナ)に似ているのでタチウオと呼ばれるようになったとか、立ち泳ぎをしているからタチウオだとか言われています。
生態
サバ亜目タチウオ科の太刀魚(タチウオ)。日本では北海道より南の各地に分布している魚です。
普段は、水深100m以上の砂地に住んでおり、産卵期(初夏から秋といわれています)になると内湾部に入ってきます。
昼間は深場に潜んでおり、夕方から朝方までは餌となるベイトを追って、沿岸や表層まで浮上して来ます。
孵化した幼魚は1年で20㎝くらいになりますが、もっと小さいときはタチウオの子とはなかなかわからず、半透明の魚体をしており、のれそれ(アナゴの子)と見間違えることがあります。
幼魚は成魚よりも泳ぎが下手で、潮にのって移動していることが多く、サバやハマチなど他のフィッシュイータの餌となることが多いようです。漁師さんたちはこのタチウオの子を餌として、ハマチ、ブリ、サワラなどを狙っているようです。
餌になるベイト(イワシが主)がいる間は湾内に入ってくることが多く、防波堤からの釣りのターゲットとなります。
タチウオの釣り方
タチウオの生態でご紹介した通り、昼間は深場に潜み、夕まずめから朝まずめくらいの間沿岸部に寄ってくるという習性がありますから、朝から夕方までは船で沖合に出ての釣り、夕まずから朝まずめまでが防波堤など沿岸部からの釣りになります。
タチウオ釣りの時期は、場所によって異なりますが産卵時期からとなります。湾内に入ってきても、防波堤あたりまでベイトを追ってくるのは少し時期がずれますね。
船釣りでタチウオ釣りが始まって、2~3週間くらいはずれると考えてください。
関西では船釣りが8月くらいから盛期に入りますが、防波堤など護岸で釣れるのはお盆過ぎから下旬ですね。ベイトであるイワシやアジがサビキで釣れている間は、その近辺で狙うことができます。
今回は防波堤(護岸)からの各釣り方がメインにご紹介しますが、その前に、どの釣り方にも共通すると思われる道具と注意事項をあげておきますね。
- フィッシュグリップ : 魚つかみとよばれるものです。タチウオは歯の鋭い魚です。ちょっと触れただけでも皮膚が切れますので、しっかりと魚体を掴めるものを用意しましょう。手でも掴めるのですが、滑ると危ないですから滑り止めの付いたグリップを用意しましょう。
- ナイフ:釣りあげたタチウオを〆るための道具です。できるだけ早く〆ましょう。クーラーの中に生きたまま入れると暴れて他の魚を傷つけたり、クーラーに手を入れたときにけがをすることもあります。おススメは、時間があるときに頭を落とし、内臓まで出しておくと良いです。タチウオの消化液は強力で、死んでからそのままクーラーに入れておくと自分の内臓を消化し始め腹がぐずぐずになることがあります。
- 懐中電灯:ヘッドランプで良いですね。薄暗い時間帯の釣りですが、前後か暗くなりますからヘッドランプは持っていくことをお勧めします。
- パーカーなど:防寒具までとは言いませんが、日が落ちている時間帯は気温が下がりますので一枚余分にはおるものを持っていくことをお勧めします。
防波堤からのタチウオのルアー釣り(引き釣り)
タチウオを狙うルアー釣りや引き釣りは、夕まずめ、朝まずめといった薄暗い時間帯が地合いになります。ワインド釣法の入門としてはタチウオは狙い目です。
タックル&仕掛け
- 竿:専用の竿でなくてもシーバスロッドや磯竿3号以上でもOKです。
長さは10フィートから13フィート(3mから4m)、ミディアムクラスが使い易いと思います。 - リール:中型のスピニングリール。
PEラインなら0.8号から1.2号くらいを150mもまいてあれば十分です。ナイロンなら3号程度です。 - 仕掛け:ルアー、ワーム、引き釣り用テンヤがあります。
- ルアー :フロータイプとシンカータイプの2種類を準備しましょう。色はイワシカラーがおススメです。
- ワーム :10gから20gくらいのジグヘッドに15㎝までくらいのワインド釣法用のワームがあればいいですね。カラーはおススメはイワシカラー。ドジョウワームを使う人もいます。
- 引き釣り用テンヤ:これはタチウオの引き釣用に販売されているテンヤで、ドジョウやイワシ、きびなごなどの餌を巻き付けたり、ドジョウの形をしたワームをくくりつけて使います。
道糸にリーダーを付け仕掛けを止めます。リーダーにワイヤーハリスを使う場合もありますが、最近は食いが落ちるとされ40lb程度のリーダーを結ぶ人が多いようです。
釣り方
周囲の安全を確認し、仕掛けを投げ込みます。ベイトが沸いていれば表層でもよいですが、日が出ている時間帯は中層から底付近を引く方があたりが出やすいようです。
群れが入っていればダダ巻きでもあたりが出ますが、あたりがなければ仕掛けを上下に動かしたり左右に動かしたりするアクションを入れます。できるだけ引く層(レンジ)が一定になるように引き、あたりの出る層を順番に探りさぐります。
合わせは、当たりが出たとき鋭く竿をしゃくるように合わせます。取り込みは、場所にもよりますが抜きあげるとき周りの人にタチウオがあたらないように気を付けて取り込みましょう。
この釣りの地合いは短いので、手返し良く釣ることが釣果を伸ばすコツです。
防波堤からのタチウオの浮き釣り(餌釣り)
日が落ちている時間帯の釣りになりますから、電気浮きを使います。まだ暑い時期もあり、夕涼みを兼ねて浮き釣を楽しむ人も多いです。仕掛けが投げ込まれるときに電気浮きが流れ星のようであり、海面に漂う電気浮きの明かりは癒される光景です。
タックル&仕掛け
- 竿:磯竿3号(サビキに使う竿で代用可)4m前後をお勧めします。遊動浮き仕掛けを使い、竿のしなりで仕掛けを飛ばしますから少し長めのものがよいでしょう。
- リール:中型のスピニングリール、道糸3号程度フロートタイプの糸がおススメです。
- 浮き:浮力3号程度の自立の電気浮きがおススメです。
- ケミ蛍:50から70のケミ蛍を仕掛けの上に付けます。
- 仕掛け:市販のタチウオ仕掛け。ワイヤーハリスで平行2本針タイプが使い良いです。
餌
釣り具屋などで売っている冷凍きびなごが一般的です。スーパーなどで生のきびなご、カタクチイワシなどが手に入れば釣果があがります。更に、同じ釣り場でサビキで釣ったイワシがあればGoodです。もし、ブクブクなどで生かしてあれば爆釣間違いなしです。
釣り方
一つの針は餌の頭の部分、もう一本は背びれの部分にかけます。タチウオは餌の腹部分に食いついてきますから針の間隔が空きすぎないようにしましょう。
棚は夕まず目から徐々に下がっていくことが前提です。最初は1尋半くらいから徐々に下げていきます。あたりが出ればその棚をキープします。
あたりは浮きが沈むことでわかるわけですが、一気に食い込むことは少ないです。餌を咥えた状態で浮きが水面から沈んでいるけどぼんやりと見えているという状態のときはまだ針が口に入っていません。そこから急に動き始める時を見極めて竿をあおって合わせます。
取り込みは竿が柔らかいので気を付けてできれば道糸を手にもって抜きあげることをおススメします。竿の穂先が折れないように気をつけましょう。
船からのタチウオ釣り
明るい時間帯に釣りたい、できれば大型が狙いたいという人には船釣りがおススメです。船からのタチウオ釣りが初めての方は、ベテランの人に連れて行ってもらうか、遊漁船に連絡をして初心者であることを伝えましょう。丁寧に釣り方を教えてもらえますし、道具もレンタルできる船も多くあります。
50m以上、100mくらいの水深の場所を釣りますので、いろいろと条件がありますから、この釣りを続けてみようと思うことができたら道具をそろえればよいと思います。
釣り方としては、テンビンや、テンヤを使った餌釣り、ジグを使ったジギングなどがあります。
ドラゴンと呼ばれる、指5本以上、体長1m越えも狙えますので、非常に人気の高い釣りです。
今回は防波堤からのタチウオ釣りをメインにご紹介しましたので、次回は船からのタチウオ釣りを詳しくご紹介したいと思います。
タチウオを味わう
タチウオの旬
タチウオは1年を通じておいしい魚です。大好きといわれる方も多いですね。脂が最ものるのは夏といわれますから、タチウオの旬は夏から秋が正解でしょう。
白くて淡泊で柔らかくておいしく、身離れが良いので、刺身、焼き物、揚げ物、煮物などなんでもできる魚です。一方で鱗がなく皮も薄くてはがれやすいので取り扱いには注意が必要です。
タチウオを捌く
釣り方のところでもご紹介しましたが、歯が鋭く死んでいても触れるだけで切れますから安全のためにも早めに頭を落とし、内臓を抜きましょう。
鱗はありません。銀幕が気になるならたわし等でこすりながら洗い流します。あまり強くこすると皮が剥げてしまいますので注意してください。銀幕が気にならないなら水洗いで汚れを落とす程度にします。
背びれを落とします。背びれに沿って頭側から尾まで包丁を両側に入れます。尾側を押さえ手で魚体を引き背びれを取ります。
15㎝程度の長さでぶつ切りにします。
ここまでがタチウオの各料理の基本的な下ごしらえになります。骨は非常に鋭いので注意してくださいね。
この後、三枚におろして刺身、串焼き、そのまま塩焼き、ムニエル、煮漬けに、たくさん釣れた場合は、この状態で密封して冷凍したら3か月程度持ちますね。
釣ったタチウオは余すことなく食べる
せっかく釣れた魚。命をいただいたわけですから、リリースできなかった小型のタチウオ もおいしく食べてあげましょう。
干物
ほとんど身のない小型のタチウオ、ぶつ切りにして身の少ない尾に近い部分は2枚に卸し、軽く塩を振って干します。醤油と味醂に漬けて干しても良いです。炙って食べ手も良いですし、素揚げにしても骨まで食べれます。
骨せんべい
三枚に卸したあとの骨を干します。素揚げで2度揚げするとパリパリの骨せんべい。キンキンに冷えたビールに良く合います。
まとめ
今回は防波堤からのタチウオ釣りをメインにご紹介しました。
これから旬を迎えるタチウオ、防波堤から釣れるのはもう少し先になるかもしれませんが、是非挑戦して、おいしく食べていただきたいと思います。
釣った魚は自分で料理して振る舞うをモットーに関西で休日を中心に釣りをしています。釣果と腕はともかく釣り歴は長いです₍^^;。
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