カレイは身が柔らかく細やかでおいしい魚です。自分で釣ったカレイですから、大きくても小さくてもおいしく食べたいものです。カレイの下ごしらえもその体形から独特のものがあります。カレイを上手に下ごしらえする方法を中心に家庭でできるカレイの定番料理をご紹介しましょう。
釣った魚は自分で料理して振る舞うをモットーに関西で休日を中心に釣りをしています。釣果と腕はともかく釣り歴は長いです₍^^;。
カレイの料理に共通の下ごしらえ
料理する前に釣ってきたカレイの下ごしらえをしなければなりません。下ごしらえはの大きな作業は「おろし」ですが、最初にウロコを落とし、エラ、頭、内臓を取り除かなければなりません。頭は料理によっては残すこともありますね。この最初の作業をおろそかにすると料理が台無しになることもあります。カレイは身の片側に両目がついている普通の魚とは異なった体です。下ごしらえの方法も他の魚とは異なる点がありますので、順番に説明していきます。
カレイの体表をしっかりと洗う
海の魚の場合うろこの間に雑菌が多く住んでいる場所によっては汚れもついています。うろこを取る前にしっかりと汚れを流れ落とし、ウロコを取った後も流水で体表を洗いましょう。イシガレイの場合はウロコが少ない代わりに体表が粘液で覆われていますから、金タワシなどでしっかりとヌメリも洗い落とします。
カレイのウロコを取る
カレイのウロコは柔らかいですが小さくびっしりとついています。小型のカレイの場合は包丁の先で尾の方から頭に向かって、こすり取っていきます。ヒレのきわ、カマのアタリは柳葉包丁の先を使って丁寧に取りましょう。30センチメートルほどの大型の場合は包丁を寝かせて刃の部分でそぎ取るようにして取ります。
イシガレイの場合はウロコが全くないわけではありませんので包丁でそぐような取り方で粘液もはぎます。イシガレイに特有の骨化した石がありますので包丁でそぎ取ります。
カレイの頭を取る
カレイを姿造りにしたり、尾頭付きで料理する場合は次の内臓を抜く過程に移ります。大型のカレイや身だけを使う場合は頭を落とします。カレイの表側のエラに沿って包丁を入れ、中骨を断ちます。カレイを裏返し同じように包丁を入れ、頭を落とします。
エラに沿って切ることが難しい場合や小型のカレイの頭を落とす場合は、エラブタを持ち上げ、中骨を断つようにまっすぐに包丁を入れましょう。この時、内臓をつぶさないように気をつけましょう。
カレイの内臓を取る
カレイの頭を落とした場合は、その切り口から包丁の歯先で内臓をかき出します。内臓が取りにくいなら、腹の真下を少しだけ割りましょう。
カレイの頭を残す場合は、そのあと身をおろすか、身をおろさず尾頭付きで調理するかで切る位置が変わります。写真のように頭と中骨を残しておろす場合は胸ビレのつけ根から腹の端に向かって切れ目を入れ、カレイを尾頭付きで調理する場合は腹の下部より少し上に隠し包丁を入れます。
切り口から包丁の先を入れ、内臓をかき出します。内臓を取ったら、腹の中を流水できれいに洗い、しっかり水気を取ります。どの魚でも同じですが、水を使うのはここまでです。
カレイのおろし方
頭を落としたカレイも、残したカレイも内臓を抜き、しっかりと水気を取ったら次は各料理に合わせた下ごしらえをしていきます。尾頭付きでカレイを1尾丸ごと使う料理は、料理を始める直前に下ごしらえをします。次は魚の下ごしらえの最も大きな割合を占めるおろしをご紹介します。
カレイやヒラメは独特の体形のため、大型のものをおろすときは5枚おろしというさばき方でおろします。カレイは小型も多く3枚におろすことは可能ですが他の魚の3枚おろしとは少し手順が異なります。大型のカレイは時には7枚おろしというさばき方のこともあります。
カレイのおろし方のコツは、切り取る部分の端に切れ目を入れる事、力を入れ過ぎず包丁を頻繁に動かし身をはがす事です。手順の3.4.はプロの料理人の方は省かれるようですが、私たち素人は最初に行っておく方が作業をスムースにします。
3枚おろし
カレイのおろし方は5枚おろしと思われがちですが、小型のカレイをおろすのであれば3枚おろしのほうが手早くできます。ただ、他の魚の3枚おろしとは異なったおろし方です。
- 頭を残した場合は表側(目のついている方)のエラブタのきわと尾ビレのつけ根に中骨にあたるまで切れ目を入れます。頭を落とした場合は、尾ビレのつけ根だけです。
- まな板に表側の頭を上におき、腹側の尾の方からヒレの縁に沿って返し包丁(出刃包丁を裏返しに使う)で皮だけ切っておきます。
- カレイを上下逆に尻尾を上におき、同じく返し包丁で尾の方からヒレの縁に沿って皮だけきります。
- カレイを、再度頭を上に置き、上から腹側の切れ目から中骨に刃先が当たるように滑らせながら身を骨から切り取っていきます
- 力を入れ過ぎないように刃先が骨から離れないように包丁を細かく動かします。
- 中骨の中心をこえるあたりは特に注意します。骨から切りはなした身を片手で持ち上げながら刃先が骨から離れないように進めます。
- 片身を切り取ったら、カレイを裏返し、表側と同様に、骨から腹側の身を切り取ります。
- 上手にできれば骨にほとんど身は残りません。6の作業が難しいと感じたら5枚おろしに変えても良いでしょう。
5枚おろし
カレイだけでなく、ヒラメでも主流のおろし方です。3枚におろした後身を背身と腹身に分けるのでなく、最初から別々におろしていく手法です。大型のカレイの場合や、小型のカレイを唐揚げにして骨まで食べられるようにするのに適したおろし方です。
- カレイの表身の中央部分の頭から尾に向かって中骨の上に(側線に沿って)切り込みを入れます。
- 尾ビレのつけ根(と頭が残っている場合はエラブタのきわの部分)に中骨にあたるまで切れ目を入れます。
- まな板に表側の頭を上におき、腹側の尾の方からヒレの縁に沿って返し包丁(出刃包丁を裏返しに使う)で皮だけ切っておきます。
- カレイを上下逆に尻尾を上におき、同じく返し包丁で尾の方からヒレの縁に沿って皮だけきります。
- カレイの頭を上におき、中央の切れ目から背側の身の下に中骨にそって包丁を差し込みます。
- 包丁の切っ先を中骨にあてながら少しずつ身を切り取っていきます。
- ヒレ近くのエンガワと呼ばれる肉に達したら特に注意深く身を傷つけないように包丁を使います。
- エンガワの身が途中でちぎれないように注意して、背側の身を骨から切り取ります。
- カレイの身の上下を反対にし尾の付け根から、腹身を骨から切り離していきます。これで表側の身が切り取れました。
- カレイを裏返し、中央部に頭から尾まで中骨に沿って切り込みを入れ、エラのつけのと尾ビレのつけ根に切り込みを入れます。
- 表側と同じ要領で裏側の背側から身を骨から切りはなして行きます。背側は頭の方から、腹側は尾の方から、身を骨から切り取ります。
- 背身2枚、腹身2枚に切り分け、中落ち1枚(背骨)を組み合わせて「5枚おろし」です。
7枚おろし
大型のカレイ、ヒラメのエンガワを別取るために、ヒレの部分だけを切り取る7枚おろしがあります。カレイやヒラメの背びれ、腹ビレのつけ根にある筋肉はコリコリとした食感が人気で縁側と呼ばれ、珍重されます。そのため、エンガワを身と分けて別にり、刺し身、塩焼き、煮付けで供されます。
- カレイの表を上にまな板に置き、エンガワのつけ根より少し内側を背びれ腹びれと切り落とします。一度に切れない場合は表側からと裏側から包丁を入れて丁寧に切り落とします。
- 以降は5枚おろしの手順で4枚の切り身を取ります。
- 上身2枚、下見2枚、縁側2枚、中落1枚の7まいおろしです。
下ごしらえの終わったカレイの簡単料理
魚屋さんではなかなか手に入らないマコガレイやイシガレイ、メイタガレイが釣れて下ごしらえが済んだらおいしく食べましょう。定番は煮付け、唐揚げですが、新鮮なカレイのお刺身が食べられるのは釣り人の特権です。定番中の定番、刺し身、煮付け、唐揚げを紹介しておきます。いろいろアレンジしてください。
カレイの刺し身
小型のカレイであれば3枚おろし、中型・大型のカレイであれば5枚おろしした身を使います。中型のカレイの姿造りを家庭で作ってみるのいいですね。
- 5枚におろしたカレイの身の、尾の方の皮と身の間に、包丁の切っ先を入れます。
- 包丁を動かさず皮を包丁でまな板に押し付けて置く感じで少しずつ皮を引くようにします。
- 皮を取った身から縁側を外します。
- 皮を取った身の切り方は好みですが、2,3ミリメートルの薄くそぎ切りが良いでしょう。
- 縁側は3センチメートルくらいに切り分けます。
- さらに5枚おろしをした中骨があれば、串をうち形を整えて皿に置き、その上に大根のけんを飾ります。
- 切った身を乗せ、エンガワは大葉に乗せて皿に乗せましょう。
- わさびしょう油、もみじおろしとポン酢でどうぞ。
刺し身のアレンジ料理
酢の物
すりおろしたキュウリとそぎ切りしたカレイの身を三杯酢で和えてみましょう。
カレイのしゃぶしゃぶ
大型のマコガレイ、イシガレイが釣れて刺し身で食べきれないならしゃぶしゃぶでどうぞ。薄めのそぎ切りにしたカレイの身と、白菜・ほうれん草・椎茸・くずきり・豆腐など鍋の材料を用意して、昆布出汁でしゃぶしゃぶして食べます。薬味を入れて、ゴマダレ、ポン酢ダレ、梅肉ダレで食べるといくらでも食べられます。
カレイの煮付け
カレイの煮つけは、カレイ料理では定番中の定番です。カラスガレイなど大型のカレイの切り身はスーパーなどで手に入りますが、マコガレイやメイタガレイなど釣り魚なら姿のまま煮つけにするのがいいですね。
- 飾り包丁で身の表側に切れ目を入れておきます。
- 煮汁はシンプルで良いでしょう。水5、酒1、しょう油1、みりん1の割合で混ぜ、砂糖を少し加えます。
- カレイと煮汁を入れます。一緒に焼き豆腐を入れるのがおすすめです。薄切りのショウガは好みで入れましょう。
- 沸騰したら落しブタをし、弱火にして10分ほど煮ます。
- フライパンなどで作る場合は、煮汁をすくいかけましょう。煮ている最中にカレイは動かさないように。
煮つけのアレンジ
姿蒸し
煮つけはもう一つというならカレイの姿蒸しはいかがでしょう。煮つけと同じように小型・中型のカレイを尾頭付きで使います。
- 匂い消しに腹の中にしょうがの薄切りを入れます。
- お皿に白ネギを2切れおき、その上にカレイを置きます。このネギは枕ネギと呼び、皿の上に溜まる蒸し汁にカレイがつからないようにします。
- 皿ごと蒸し器に入れて強火で15分くらい蒸します。
- 蒸し上がったら別のさらにカレイを移し、腹のショウガは外して供します。
- 漬け汁、かけ汁は好みで作りましょう。おすすめは柑橘系のしぼり汁としょう油を合わせたものや、しょう油とごま油をかけ汁にするのもおいしく食べられます。
カレイの唐揚げ
唐揚げもカレイ料理では定番です。姿のまま上げても骨まで食べられます。5枚におろしたカレイを使うと家庭でも料理屋さんの唐揚げになります。お好みで作ってみましょう。
姿揚げ
小型から中型のカレイに適します。頭のついたカレイを使います。
- カレイの表面に飾り包丁を入れます。煮付けの場合よりは大きめに深く切ります。
- 背ビレ、腹ビレのきわから中骨に向けて5ミリメートルから1センチメートルくらいの切り込みを入れます。
- 軽く塩を振り(コショウは好みで)、10分ほど休ませます。
- 水気をぬぐい片栗粉をカレイにまぶします。片栗粉はつけすぎると焦げやすいのでしっかりはたきましょう。また、片栗粉をつけて1、2分休ませます。すぐにあげると粉が落ち油が汚れます。
- 170度くらいに油を熱し、きつね色になるくらいまで上げて取り出します。
- 揚げるののかかった時間と同じくらいの時間休ませ、油の温度を180度以上に上げてカリッと2度揚げします。
飾り揚げ
中型のカレイに適します。5枚におろしたカレイを使います。頭のついた中骨を台にして盛り付けましょう。つかあわせにししとうや椎茸を添えてみましょう。
- 5枚おろしをしたカレイの頭中骨の部分に竹串を打ち、反った形を作り、小麦粉をふります。
- エンガワと身は食べやすい大きさに切り分け、酒としょう油で下味をつけます。
- 下味をつけた身に片栗粉をまぶします。
- 油を160度くらいの低温で中骨を揚げます。泡がほとんどでなくなるまでゆっくりと揚げます。
- 骨を取り出し、油の温度を180度以上の高温にし、エンガワ・身を入れ、短い時間で揚げます。目安は表面がきつね色になるくらい。水分が逃げきらない泡の出ているうちに取り出します。
- 油が高温の状態で骨を2度揚げします。
- ししとう、シイタケを素揚げします。
- 皿に中骨を置き、その上に身を盛り付けます。ししとう、シイタケ、レモンの輪切りを飾ります。
- 天つゆ、ポン酢、塩などお好みで食べましょう。
アレンジ料理
あんかけ
姿揚げしたカレイにアンをかけて食べます。アンは白菜、にんじん、モヤシなどアンになる野菜はなんでもよいでしょう。しょう油、砂糖、酢、みりん、コショウを加えたスープ(和風でも中華風でも)を煮立たせ、水溶き片栗粉でとろみをつけ、姿揚げしたカレイにかけます。
おろし和え
身と骨を別々にあげたカレイを使います。
骨は塩で骨せんべいとして食べ、身は天つゆに大根おろしをたっぷりと入れた出汁に絡めます。
ムニエル
揚げ物を避けたいなら、5枚おろしにした身を使ってムニエルもおいしい料理です。白身の魚ですから洋風でもおいしく食べられます。
- 5枚おろしにしたカレイの身に塩コショウで下味をつけ休ませます。
- 水気を取り、牛乳を振り、小麦粉をまぶします。
- フライパンにサラダオイルを塗り、火をつけてバターを溶かします。
- カレイの身を皮目から焼きます。7割方火が通ったら裏返し焼きます。
- 焼き上がりに白ワインをかけると香りがたちます。
- お皿に盛り、残り汁をかけてレモンを添えます。
釣ったから食べられるカレイをさばいておいしく食べよう
なかなか魚屋さんでは手に入らないマコガレイやイシガレイなどが釣れたらおいしく食べるための下ごしらえを中心に紹介しました。5枚おろしというと何か難しいようですが、ゆっくり丁寧にすすめるときれいにできます。ぜひ、カレイが釣れたら挑戦しておいしく食べましょう。
釣った魚は自分で料理して振る舞うをモットーに関西で休日を中心に釣りをしています。釣果と腕はともかく釣り歴は長いです₍^^;。
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