タチウオ釣りを始めた人の夢はドラゴンと呼ばれる大きなタチウオを釣ることではないでしょうか?タチウオの大物に出会う可能性が高いのは船釣りです。日中にタチウオが潜んでいる深場を狙ったり、魚群探知機でタチウオの群れを探すので大物を釣り上げる可能性が高くなります。ドラゴンを釣りたいという初心者の向けに船のタチウオテンヤ釣りのご紹介です。
釣った魚は自分で料理して振る舞うをモットーに関西で休日を中心に釣りをしています。釣果と腕はともかく釣り歴は長いです₍^^;。
そもそもドラゴンとは!?
タチウオの大型を釣り人はドラゴンと呼びます。タチウオはとがった頭、鋭い歯の並んだ大きな口、丸く大きな目を持ち細長い体をしています。その姿は架空の動物「龍」に似ていることもあり、タチウオの大型がドラゴンと呼ばれるようです。生後3年以上で体長1メートルを超えるようになると体幅も広くなり、顔つきもさらにいかつくなったようにも見えます。
釣り人はタチウオの体に手のひらをそえ、幅にあわせて重なる指の本数で指3本などとタチウオの大きさをあらわします。タチウオが1メートル以上になると「ドラゴンだ!指5本だ」などというわけです。最近は釣り番組などで「ドラ5」「ドラ6」などと短縮した言いかたになり、定着してきたようです。
タチウオの船釣りって!?
タチウオが回遊してくるシーズンになると、各地の港から遊漁船やクルーザーがタチウオ狙いで出船します。釣り方は主に3種類です。関東から和歌山あたりまではテンビン仕掛けでエサを使う釣りがメイン、大阪湾を中心に関西ではタチウオテンヤをつかったテンヤ釣り、もう一つが近年人気のタチウオジギングが全国に広がっています。
どの釣り方でタチウオを狙うかは釣り人の好みですが、個人クルーザーや仕立てた遊漁船以外の一般の乗合船といわれる遊漁船では、釣り方は統一されます。自分がやりたい釣り方のできる船を選びましょう。
タチウオテンヤのタチウオ釣り
タチウオテンヤのタチウオ釣りとは、タチウオテンヤという道具を使い、タチウオの習性を利用しエサである小魚に食いついてくるタチウオを釣り上げる釣りです。タチウオは狙った小魚の腹の部分に食いつき弱らせてから飲み込むという食性を持っています。タチウオの習性を理解したうえで、誘い方、釣り方を工夫する面白い釣りなのです。
タチウオテンヤとは
テンヤという仕掛けは漁師さんがハリをオモリに固定してつかった漁具のことです。タイをねらうテンヤはハリにエビをつけてタイに食わせ釣り上げます。タチウオテンヤは大きなハリがついている仕掛けで、エサであるイワシをハリにさしてつけるのではなく、くくりつけて、エサを取りに来たタチウオを大きなハリでひっかける釣り道具です。タコテンヤもタチウオテンヤと同じ使い方です。
タチウオテンヤは40号(150グラム)から60号(220グラム)くらいの重さをもつ写真のような仕掛けです。上の部分にある突起に、エサであるイワシを突き刺し、細いワイヤーで巻きつけます。頭の上部をリーダーに接続しぶら下げると水平になるようなバランスがとってあります。
釣り具メーカーがいろいろと工夫を加えたものを売り出していますので、好みと使い勝手を考えて選びましょう。乗る遊漁船によっては仕掛けのおまつりなどのトラブル防止のため、使用するタチウオテンヤの重さ、形を指定することもあります。
タチウオテンヤのエサのつけ方
エサはさんまの半身を使うこともありますが、釣り具屋さんで売っている冷凍イワシを使うことが多いです。スーパーなどで中羽から大羽くらいの生イワシがあれば購入して使うこともあります。タチウオテンヤの形状がメーカーによって多少異なりますが基本はテンヤの上部の突起にイワシを突き刺し、細いステンレスワイヤーで巻いて固定します。
イワシの頭部はしっかりと巻きつけ腹部は緩め、尾びれはゆらゆらと動くように巻きます。水中でタチウオにイワシが弱って泳いでいるという演出をするのです。イワシは身が弱い魚ですから、アタリがあるとエサは損傷しますからエサを付け替えることが必要になります。
ベテランの釣り人はテンヤを2つ用意しておき、両方にイワシを巻き付けておいて手返しを早くする工夫をしています。最近はエサのつけかえを手早く簡単にできるものも発売されています。
タチウオテンヤ釣りの仕掛け
タチウオテンヤ釣りの仕掛けは、タチウオテンヤの頭頂部にある突起部分にリーダーを50センチメートルから1メートルほどつけ道糸に接続します。リーダーはタチウオの歯が鋭く切られることを防ぐためにワイヤーを使うことが多かったのですが、最近は食いが悪いとされ、ナイロンリーダーの10号から12号のものが使われます。太いリーダーですが、まったく切られないということはないので、ワイヤーハリスを使う人も多いです。
以前はリーダーにタチウオの注意を引く目的でケミ蛍をつけるのが一般的でしたが、おまつりなどのトラブルの原因になるので禁止する遊漁船も多くなりました。水深100メートルくらいの棚を狙いますので、釣り人の数の多い乗合船では同じような仕掛けでないと仕掛けのおまつりを起こしやすいのです。
タチウオテンヤの釣りのタックル
タチウオテンヤ釣りは釣り方のところでも述べますが、基本は、仕掛けを巻き上げながらあたりを見極め、あわせをいれてハリ掛かりさせる釣りです。タックルには、仕掛けの重さ、タチウオの引きをかわし、釣り上げていくパワーと操作性が要求されます。基本は向こうあわせの釣りです。しかし、タチウオの食いが渋く、前あたりの段階で掛けていくようなあわせが必要な場合もあります。上級者は状況によってタックルを変えて、釣果をあげているのです。
竿
基本は向こう合わせの釣りですから、7:3調子が適当です。オモリ負荷が50号くらいで、2メートル前後の竿であればタチウオ専用竿でなくても使えます。最近の竿はオモリ負荷の範囲が広いものが多くなりましたから、最初の船釣り用の竿でしたら、タチウオ専用竿の7:3調子を購入することもおすすめです。
前あたりをとり、掛けあわせる釣り方をするなら、7:3調子の竿では早あわせがむつかしくなります。動きがダイレクトに伝わる、8:2、9:1の先調子といわれる竿が適切です。また、あわせを素早く行うためには短めの竿が適していますので、1.6メートルくらいの竿が良いでしょう。
リール
タチウオテンヤ釣りでタチウオを狙う棚は水深100メートルあたりになることもあり、仕掛けが潮に流され水深以上に道糸が出る場合もあります。ですからPEラインの1から2号が200メートル巻け、仕掛けがどれくらいの水深にあるのかわかるカウンター付きの両軸リールが良いでしょう。
リールはメンテナンスをしっかりしていけば長く使えますので、購入するなら高品質のものをおすすめします。両軸リールは右巻き、左巻きの区別がありますから購入の際は気を付けてください。
何度も仕掛けをタチウオのいる棚までおろし、船上までまきあげるのは大変です。タチウオテンヤ釣りのベテランたちは電動リールを使います。これからも船釣りを続け、タチウオを狙うのであれば電動リールの購入も選択肢の一つです。
タチウオテンヤ釣りの釣り方
タチウオテンヤ釣りは船長が魚群探知機でタチウオの群れを探し、棚を指示してくれる船が多数です。ポイントにつくと仕掛けを投入する合図がありますので、仕掛けを投入にするわけですが、潮の流れで仕掛けが流されます。仕掛けを投入するタイミングが大きくずれるとおまつりの原因です。合図とともに仕掛けを投入できるようにしておくことがこの釣りのマナーと考えてください。
慣れてくるとサミングなどで仕掛けの落下を調整できますが、最初は周りの様子を見ながらあわせていくようにしましょう。
誘い
誘い方は、釣行日のタチウオの活性や群れの様子などで変わりますが、着底後、または、船長の指示棚あたりに仕掛けが到達したら、ゆっくりと巻き上げていくのが基本です。コツコツとエサがつつかれるようなあたりがあっても、同じ速度で巻き続けます。タチウオがエサをくわえて反転する本あたりが出るまで巻き続けるのがさそいの基本です。
コツコツというあたりが長く続き、なかなか食い込まない場合は、少しの間、止めてやると食い込むこともあります。コツコツというあたりが途中でなくなった場合はクラッチを切って、サミングしてゆっくりと仕掛けをアタリの出始めた棚あたりまで下げます。再度、ゆっくりと巻き上げていくとあたりが出始めることがあります。
ピッチアンドジャークといわれるジギングのように竿先を上下しながら巻き上げる誘いもありますが、基本の誘い方をしてあたりが出ないようならいろいろ試してみましょう。アタリの出るパターンが見つかれば、続けてください。
あわせ
タチウオがエサをくわえて反転する本あたりが出れば、竿を大きく上にあおってハリをタチウオに掛けます。本あたりをあわせるとハリを口にかけることが可能です。
本あたりがなかなか出ず、前あたりが続く場合は掛けあわせをします。タチウオがエサをついばんでいるときに素早くハリをかけるためのあわせですから、竿も先調子で操作しやすい短めの竿が有利になります。小さなあたりが出たときに素早く仕掛けを跳ね上げるイメージです。
取り込み
あわせがうまくいき、ハリ掛かりしたら手早く巻き上げます。途中でテンションがなくなったり、ゆるめるのは、ハリがはずれる要因です。タチウオが食い上げと呼ばれる上に泳ぐことがあります。とにかく早く巻き、テンションが一定にかかるようにします。
タチウオが海面まで上がったらリーダーをもって、タチウオを船上に引き上げます。竿は手早く竿置きなどに固定して、両手が使える状態で、タチウオテンヤとタチウオの胴体をつかみましょう。釣り座が広ければ甲板においてフィッシュグリップなどでつかめますが、狭い場所で暴れると歯で人や仕掛けを傷つけることがあります。
取り込んだタチウオは個人いけすがある場合はいけすへ入れます。いけすがない場合はいったんクーラーに入れます。できるだけすぐに締めたいところですが、地合いを逃しますから次の仕掛けを入れなおすことを第1にします。
移動中
一流しが終わると、船長から仕掛けを回収する合図があり、ポイントを移動します。移動中にやっておきたいことは2つです。
1つは、次の仕掛けの準備です。合図があったらすぐに仕掛けが投入できるようにテンヤにイワシをセットします。交換用のテンヤがある場合もおなじようにセットします。
2つ目は釣ったタチウオの処理です。船上なので血抜きまでは無理かもしれませんが、タチウオの頭を落とし、内臓を抜ければ最高です。個人いけすがあれば血抜きまでできますね。切り取った頭と内臓は海にもどすと、他の魚がエサにします。タチウオはビニール袋などにいれ、直接、氷にあたらないようにしてクーラーボックスに入れます。
タチウオは死んでも消化液が働きますから、死んでから長時間内臓をそのままにしておくとおなかの中がずるずるになってしまいます。できれば釣場で内臓まで取り除いておくことをおすすめします。
まとめ
タチウオの船釣りのうちのタチウオテンヤを使う釣りについて紹介しました。初めて船に乗って釣りをするなら、できればベテランの方に同行をお願いしましょう。いろいろ教えてもらえます。遊漁船に問い合わせれば、必要な仕掛けやエサ、注意事項も教えてもらえます。レンタルの竿やリールも用意されている船もたくさんあります。
一度船に乗ってドラゴンタチウオ釣りに挑戦してみてください。
釣った魚は自分で料理して振る舞うをモットーに関西で休日を中心に釣りをしています。釣果と腕はともかく釣り歴は長いです₍^^;。
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