アオリイカ釣りは、手軽にできるエギングが普及し一気にメジャーになりました。それまでは、漁師さんの漁具としてエギが使われ、釣り人は、生きたアジをエサにして掛け針を使う浮き釣りか、ヤエンを使う釣りでした。アオリイカは秋口から防波堤周りなどを回遊しますので、アジ、メバル、タチウオ釣りの半夜釣りの折に、ついでに釣るという簡単な釣りだったのです。
釣った魚は自分で料理して振る舞うをモットーに関西で休日を中心に釣りをしています。釣果と腕はともかく釣り歴は長いです₍^^;。
アオリイカとはどんなイカ
アオリイカはおいしいイカです。ミズイカ、モイカ、秋イカなどいろいろな呼び名を持ちます。水揚げ量も多くはないので、なかなか市場に流通せず高額で取引されるイカです。一般家庭ではなかなか食卓に上ることのないイカですが、モチモチした食感と甘味は食べる人を魅了しています。
イカは大別するとツツイカ類とコウイカ類に分けられます。ツツイカ類とコウイカ類の違いは甲と呼ばれる貝殻を体内に持つか否かです。アオリイカはツツイカ類でアカイカ科に属し、甲の代わりに薄い透明なササ状の軟甲を持っています。アオリイカの体形は他のツツイカ類よりコウイカ類に近い体形です。
春から夏にかけて沿岸部の藻場で産卵し、エビ類、小魚を貪欲に食します。成長は早く、一潮ごとに大きくなる姿はびっくりです。幼魚の間は群れで行動していますが、成長とともに単体で行動するとされ、産卵期には再び群れを形成します。
オスは体表に横筋のような模様が無数にあり、メスは体表に丸い斑点のような模様を持ちますので成体になるとはっきりと見分けがつきます。水温12度くらいまでは、エサとなるイワシやアジを追い沿岸部にとどまっていますが、水温が低下すると深場に落ち、小魚を追って南下するようです。
翌年の春から夏にかけ産卵のために沿岸部の藻場に移動し産卵してその生涯を閉じます。この時期の親イカは体長も50センチメートルを超え、体重も2キログラムを超えるものが少なくありません。ふ化してコロッケサイズくらいから、親イカのサイズになるまでが釣りの対象とされます。
夜行性で日中は岩陰や藻場などに潜み、エンペラ(ヒレ)で水中にヘリコプターのようにホバリングしてエサの近づいてくるのを待っています。エサの小魚を2本の触腕を伸ばしとらえて、魚の首根っこをかじり暴れないようにしてから岩陰などに移動しゆっくりと食べます。
青物(ハマチ、ブリなど)やサワラなどから狙われますから、危険を感じるとロウトから体内にためた海水をジェット噴射して推進力を得て逃げます。同時に、墨を吹き出すのはタコと同じです。タコの墨は煙幕の役割ですが、アオリイカをはじめとするイカの墨は、変わり身・分身の役割をし、外敵の目をくらまします。タコと比べるとイカの墨は粘性が強い墨です。
アオリイカの釣り方
漁師さんのアオリイカ漁は秋には新子を底引き網を使って獲り、晩秋から春先はエギをトローリングのように引いて成体を獲ります。釣り人が使う仕掛けは陸やボートからエギを使い、浅場にいるアオリイカを狙うエギング、生き餌を使ってハリ掛けする浮き釣り、ヤエン釣りなどがあります。
エギを使った釣り
大きなエビを模したようなエギを使ってアオリイカを釣ります。エギという漁具としては江戸時代からあったそうです。この漁具に似せて使われるようになったのがエギです。江戸時代から東京湾で使われていたコウイカ狙いの漁具(テンヤ)に似せて作られたという説もあります。
最近はタコ釣りもタコテンヤからエギが使われるようになったことを見ると掛け釣の道具としては理にかかっているわけですね。陸やボートから岸よりのしもり周りにエギを投げ入れてアオリイカを釣るのがエギングです。
一方で船やボートから沖の20から50メートルあたりのしもり周りに潜むアオリイカを狙うのは中おもりやテンビンを用いたり、重めのエギを用いるティップランなどの釣り方があります。
アオリイカの餌釣り
アオリイカはエビ類や小型の魚をエサにしていますから、藻エビ、ウタセエビなどの活きエビ、アジやイワシなどの生き餌を使った釣りがメインです。仕掛けは下で紹介するように浮き釣りがメインになり、死んだエサも食いますがあたりが出にくいのであまり使われません。
餌を使う釣りの中で、ヤエンを使った釣りは、特殊な釣り方です。掛け針などの余分なものをつけず、自由にアジを泳がせてアオリイカに捕獲させ、食べ始めたところにヤエンという掛け針を滑らせてハリに掛けます。和歌山県では盛んにおこなわれています。
もう一つの餌釣りが浮き釣ですが、釣行でアオリイカの浮き釣りをメインにすることはまれです。メバルやタチウオの半夜釣りをしているときアオリイカがいることもあります。そういう時にアオリイカの仕掛けを用意しておくとおいしいアオリイカも手に入るということなのです。
アオリイカの浮き釣り
防波堤や漁港の船の出入り口付近など海底に起伏や藻場などの潮の寄れるような場所というのは、小魚も多くサビキ釣りやその他の釣りにもよい釣場です。アオリイカの姿が水中に見えたり、常夜灯近くで墨あとなどあれば、ベストポジションです。夕方前に釣場に入り、サビキ釣りをしてエサとなる生きた魚を釣り、ブクブクに入れて、生かしておきます。
アオリイカの浮き釣りタックル
サビキ釣り、メバル釣り、タチウオの浮き釣りなどと一緒にできます。タックルも一部を変更すれば兼用できます。
- 竿 : 4メートル前後の磯竿2号程度
- リール:小型、中型のスピニングリール
- 道糸:3号程度のナイロンまたはフロロカーボン糸100メートル程度
- 浮子:電気浮き(感度の良いもの) アジをつけても浮くもの
仕掛け
活きアジなどのエサをつけるため、鼻カンまたは細地のカン付きハリをハリスにセットし、下に掛け針をつけます。
- 鼻カンは誘導式にします。
- 掛け針はいかり針を使ってもよいですし、アオリイカ専用の掛け針でも可です。
市販のセット物を使うのが楽ですね。
まるふじ イカトリック1段 IKA-10 (アオリイカ仕掛)
エサとエサのつけ方
エサは生き餌を使って浮き釣りをしていたならその時のエサ、活きエビ、活きアジなど使えます。その場でサビキをしていたなら、生かしておけば使えます。タチウオ釣りのエサ、キビナゴ、イワシなども使えますが、食いは落ちます。
- アジなどの生きた魚の場合は鼻カンが使えます。魚の鼻に管の先を通して使います。
- カン付き針の場合は、エビ類は口掛け、魚の場合は鼻掛けか背掛けにします。
死んだエサの場合は背掛けにします。 - 掛け針はエサから下になるようにセットし、エサの泳ぎの邪魔にならないようにします。
釣り方
釣場となる海底の障害物などの上のすぐくらいをエサが通過するくらいに浮き下をセットします。目安としては、水深にもよりますが、海底から1メートルくらいです。
アタリは生き餌の場合アオリイカが近づいてくると暴れますが早合わせは禁物です。イカがエサに抱きつき首根っこにかみついて、底に潜ろうと浮きが沈みだしたらきき合わせのように竿を立てます。重みが感じられたらテンションを緩めないように道糸をまき取り込みます。
あまり鋭くあわせると身切れすることがあります。竿を立てるくらいの合わせで掛け針を掛けましょう。取り込みにタモ網を使う場合は必ず針側(足側)でなく胴の方からタモ入れします。水上にあげたとき、海水と一緒に墨を吹き出すことがありますから注意しましょう。
釣ったアオリイカの処理
釣ったイカは魚と同じく締めておきましょう。目の間をナイフで刺すか、足と胴の間にナイフを入れると締まります。締まると体表の色が白く変わりますから判断が可能です。締めるときに墨袋を破らないように注意してください。
ジプロックなど口の閉まるビニール袋に入れてクーラーにしまいましょう。持ち帰って美味しく食べましょう。
まとめ
アオリイカの釣り方のうち岸からの浮き釣りを主にご紹介しました。数釣りはむつかしいかもしれませんが、のんびり楽しめる釣りです。
アオリイカの食べ方はまた別の機会にご紹介しますが、イカ類は捨てるところが、ほとんど、ありません。墨、肝(肝臓)など釣り人だから食べられるものも多いです。げその肝和えしょう油バター焼き、自家製の塩辛などお酒をたしなむ人にはたまらないあてができます。
防波堤などでサビキ釣りをするとき、墨跡があるようでしたらぜひ試してみてください。
釣った魚は自分で料理して振る舞うをモットーに関西で休日を中心に釣りをしています。釣果と腕はともかく釣り歴は長いです₍^^;。
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